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学校日記・学校概要

1月6日(金) 3学期始業式

公開日
2023/01/10
更新日
2023/01/10

全校

2023年が幕を開け,短い3学期が始まりました。「終わりよければすべてよし」と言われますが,いい締めくくりができるといいですね。始業式の校長先生のお話を掲載します。

皆さん、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。さて、今日は、本校のある生徒の作文を読ませていただきます。そして、その話を年度当初にしておきたいと思います。「小さな親切運動」の作文に応募し、賞をもらった1の2の稲葉結実さんの「小さい社会の小さくて大きな親切」という作品です。

「私には生まれた時から、卵と小麦のアレルギーがあります。私はケーキや卵焼き、プリンなど卵や小麦を使った美味しい食べ物が食べられないということも、もちろんいやでしたが、一番いやだったのが、みんなと違うという事でした。
私は幼稚園の時にはお弁当、小学校1、2年生の時もお弁当でした。給食を食べるようになったのは、小学校3年生の時です。初めて給食を食べた時は、とてもどきどきして緊張しましたし、食べてじんましんが出たりしないかななど、いろいろ不安に感じることもありましたが、初めて食べた給食がとても美味しかったことを覚えています。それから、私の給食生活がスタートしました。卵、小麦を含むメニューが出てくる時は、管理栄養士さんが、アレルギー対応食の献立を考えてくれて、それに沿って調理師さんが調理をしてくれたものを食べます。
さて、ここらが本題です。「これ食べられる?」この言葉は、対応食が出る日、つまり食べられない献立のメニューがある日にクラスのみんなが、かけてくれる言葉です。私の通っている学校では、クラスみんなで給食を配ることになっています。クラスのみんなは、私がアレルギーがあるということを全員が知っているので、対応食が入った青い袋が置いてあると、私を呼んで、「これ食べられる?」「これ食べても大丈夫?」など、そんなふうに聞いてきます。最初にこの言葉をかけられた時、とてもうれしかったです。私のアレルギーのことを他人事ではなく、クラスの一員として考えてくれているんだなと思いました。何気ないそんな一言が、私にとっては大きな支えです。また、クラスのみんなだけでなく、学年の人もアレルギーについて一緒に考えてくれる人がたくさんいます。「今日は対応食なんだね」「私も動物アレルギーだからわかるよ」そういう一言を聞くと、私の周りは親切な人でいっぱいだなと感じます。
私は、今まで、アレルギーとつき合ってきました。小さい頃はアレルギーを不安でいやなものとばかり思っていました。でも今は違います。私は、アレルギーをみんなとつながれるものだと考えています。このように考えが変わることができたのは、学年のみんなの小さな親切があったからだと思います。小・中学校という小さな社会で私が感じた小さな親切は、確かに小さな親切かもしれませんが、私にとっては心を支えてくれる大きな親切です。あと2年間と少し、給食をみんなとおいしく食べたいです。

私は、この稲葉さんの作文を読んで、2つのことを感じました。
1つめは、あと、3ヶ月のそれぞれの学級・学年での生活を、稲葉さんが感じたように、お互いに、この場所でよかった、この仲間でよかった、あなたがいて私がいる、そんな支えがもらえたという3学期にしてほしいということです。大きな事でなくていい。そんな毎日をつくってほしいです。
2つめは、少し難しい言い方になりますが、「自立と依存は反対の意味ではない」ということです。稲葉さんは、自分がアレルギーであること、人と違うことがいやだという所から出発していますが、自分の一見マイナスに見えるこの姿をみんなの前に差し出し、堀金中の仲間と支え合って、「アレルギーはみんなとつながれるもの」と考えられるようになったのです。自分が弱みを持っていること、例えば自分が学習で解らないことをみなに差し出す、自分で抱え込み苦しい思いをするのでなく、上手に周囲に依存する力をもつことが大事だと思うのです。困ったら、苦しかったら人を頼ればいい、ただし頼るだけでなく、うまくいかないできない自分を隠さず自覚し、それに感謝する。そのことを周りが受け止め、一緒になって考える。稲葉さんの言い方だと「他人事にしない」ことであると思います。心を開き、うまくいかないことを差し出し合い、他人事にしないでともに考える、そんな3学期にしてほしいと思います。依存をなくすことが自立につながる、そういう単純なことではないと思います。依存をしないで自立を急ぐことは、自立ではなく「孤立」になるのではないかと思うのです。ぜひ、お互い見えないものを開き、見ようとし、自分事として考える3学期になるように頑張ってほしいです。